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Home > ソムリエ > 見下ろす視線



● キレイでなければ


 「いくら無農薬だからって、キレイなものじゃなかったら、商品じゃないの!」
 「スーパーでは、そんなものを普通は置かない!」


 小売店を営んでいる人が言われた言葉だった。


 そのお店は、農薬を減らした農産物を取り扱うことを信念とし、
 市場流通をしている野菜を一切いれず、すべて農家から直接仕入れをしていた。


 「いくら思いがあっても、受け入れられない人が多いね」


 店主はポツリと言った。


● 現実

 農薬を使用せずに育てられた野菜。
 それは見た目にはいいとは言えないものが多い。


 それを店に陳列するだけでも敬意を表することだけど、
 理解してくれる人がいて、初めて生かされる。


 そこには厳しい現実が立ちはだかっていた。


● 値下げ


 「見た目が悪いと、とにかく値段のことばかり」


 「苦労して育てたものでも、見た目が悪いとすぐに値下げをしろと要求される」と店主。
 その要求に応えることはしたくはないが、実際売れ行きが悪いと、必然的に値下げを迫られる。


 「値下げするときって、本当に心が痛くなるんです」


 野菜の価値を存分に知り尽くしている人の言葉だと思った。


● 見下ろす=見下す

 そのお店の中を歩いてみた。

 普通、スーパーの売り場では、目線から下に商品を陳列するのが基本とされる。
 人間がもっとも印象深い範囲に、商品を陳列し、購入しやすくしている。


 それは上から商品を見下ろしているものがほとんど。


 すると、ある感覚が私を襲った。


 「見下ろすことって、結局は『見下す』ことにならないのか」


● 下から眺める


 「畑にきたら、上から見るんじゃない。下から眺めてみろ!」


 ある作り手に言われた言葉だ。


 畑に行きだした当初、畑の中に入っても、上から眺めるだけ。
 実が付いていれば、それを食べ、クルクルと畑の中を回っていた時期だった。


 「野菜は土から生えてくる。下から眺めることで、野菜と同じ目線になれる」


 言われたとおりに眺めてみた。

 葉の裏には虫がいて、ひっそりと隠れていたり、
 根をしっかりと張って、上に生長しようと必死に頑張っている野菜。

 全く知らない世界がそこにはあった。


● 上から見たら

 スーパーでよく見ていると、上から眺めてキレイに見えるように陳列されている。
 確かに売り場としてはキレイに見えるけど、それが別の部分を隠している。


 上から見下ろす目線はあくまで人間の目線。
 野菜の目線ではない。


 小さい子供と話をするときも、上から眺めて話をするより、
 しゃがんで、同じ目線で話をした方が子供は理解をしてくれる。


 そのとき、回りを見れば、子供の目線で見る世界は、
 大人とは全く違うことに気が付く。


● 見つめてみる

 自分がスーパーに行ったとき、
 どんな気持ちになっているかを見つめて欲しい。

 そこにどんな気持ちが存在して、どんな姿勢の自分がいるのかを。

 
 自分勝手な考えがそこにあったとしたら、
 少しだけ下から眺めてもいいと思う。

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