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Home > ソムリエ > 言葉を合わせる



● 最初に畑に入ったとき

 自分の意思で、畑に入ろうと初めて思ったとき。
 そのときに、自分の無知さを痛切に感じた。


 どのように見てよいのか。
 どんな話を良いのか。


 まるで、外国に行って、一人ぼっちの状況に近かった。


● 言葉がわからない

 そんな中で、作り手から色んな言葉が出てきた。

 自分が知っている言葉はとっても少数で、
 何を言っているのかさえ、理解できなかった。


 その最たるものが、「堆肥」(たいひ)だ。


● 書くという作業

 「肥料」という言葉は知っていた。
 当時の知識といったら、「植物に必要なもので、ホームセンターに販売しているもの」。

 でも、それとはまったく違うようなお話。
 それに言葉で「たいひ」と言われても、漢字さえ書けなかった私。


 「どんな漢字を書くの?」と聞いた私。


 そのときに、嫌な顔をせずに、最初から丁寧に説明をしてくれた。


● 人が食べるものだから


 「野菜・果物にどんなものを食べさせるか」


 あなたは考えたことがあるだろうか?


 作り手いわく、
 「人が食べられるもので育てないと、本当の食べ物ではないんじゃない?」

 そんな言葉とは裏腹に、人工的なものを使って、育てられる野菜たち。
 それが今の世の中。


● 堆肥の見方


 「畑に行って、鼻が曲がるほどの堆肥だったら、それは未熟なもの」
 「堆肥とは、いろんなものを合わせて、発酵させて作り出す」
 「最後にはまったく無臭になモノになる」


 一つ一つ、言葉を選びながら、わかりやすく教えてくれた。

 そして、世界が一つ変わっていた。


● 肥料を入れれば

 お粗末な話、私は当時、植物を育てるには、光と水と肥料があればいいと思っていた。

 肥料を一つとっても、とても緻密で且つ技術が必要なこと。
 植物が食して生長するためには、どんなものが必要なのか。
 それを食べる人間のことまではまったく考えていなかった。

 それを考えるようになったのは、その情報や知識を知ったから、
 初めて考えられるようになった。

 それは、外国語を習得しようとしたときと、まったく同じ感覚。


● 語学を勉強する

 語学を学ぶということは、相手の方とコミュニケーションできる状態になること。
 つまりは、相手のことを知ることができる。

 同じ言葉を話すことで、いろんな情報に触れ、異国の文化の違いを体験する。
 そのときの感動や驚きは、今でも忘れることができない。


● 学び取る

 野菜・果物を知るという行為は、
 自分で野菜・果物を知ろうという気持ちがもっとも大切であると思う。
 

 人から教えられるのではなく、自分から進んで学び取る。

 
 そうでなければ、相手のことを理解できない。
 それは人を知る上でもまったく同じこと。


● 合わせてくれれば

 相手が自分に合わせてくれれば、自分はとても楽になる。
 でも、得られる情報はとても少ない。

 それよりも、自分が相手に合わせる方が、同じ時間をすごすだけでも、
 もっと密度の濃い時間を得られることができるようになる。


 野菜・果物の声を聞くということは、野菜・果物の言語を知ることに他ならない。


 自分からどれだけ歩み寄れるのか。


 歩みよれた分だけ、野菜・果物の声を聞くことができると私は思う。

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