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Home > ソムリエ > 30年はプロじゃない



● 野菜作り20年

 色んな作り手の人に出会うとき、聞くことがある。


 「野菜・果物を育てて、何年になりました?」


 いわゆる、農業を仕事にして、何年経過しているのかと聞くこと。
 その質問から、色んな答えが返ってくる。


 「高校からずっとこの道だよ」
 「一度サラリーマンをして、それからだから・・・」
 「会社を定年してからで、・・・」


 人によって、様々な人生のドラマが見え隠れする瞬間。


● 年数が多いほど


 「野菜作りに30年」


 そんな返事を聞いてしまうと、思わず見る目が変わってしまう。
 
 長い時間、追求してきた道。
 それだけの時間が経過していると、思わず「プロ」と呼びたくなる。


 しかし、そうではないと、作り手たちは言う。


● 時間じゃない

 ある作り手から、こんなことを言われた。


 「米作りに30年。確かに年数から見れば、そうなのかもしれない。
  でも、たった30回しか作っていないよ。
  他で40回作っている人がいれば、そっちがプロじゃない?」


 思わず、私は唸ってしまったのを、明確に覚えている。


● 1年に1回

 米のように、1年に1回しか収穫できないものは、どのような結果になるかは、
 収穫してみないと全く分からない。

 
 30回同じように作ったとしても、全く違うものが毎年出来上がるという。

 なぜなら、気象や環境が毎年違い、
 そして、作業内容を少しずつ変えていたりするから。


 結果が違って、当たり前なのだ。


● 毎年1年生

 
 「毎年1年生だから、今年はどうなるかは、わからんよ」


 毎年変わる異常気象の中で、毎年違う作業を考えながら、生きている人たち。
 その言葉の意味は、まさに「農業は奥が深い」ことを十二分に知っているからこそ、
 初めて言える言葉。


 そこに、オゴリや高ぶりは全くなかった。


● 30年やっていても

 30年もやっていると、もう何でもわかる人だと思ってしまうと、大間違い。
 そんなことを言ったら、こんな返事が返ってきた。


 「もうプロだと思っていたら、成長はないんじゃないかな。
  追求する気持ちを忘れた人には一切の成長はない。

  今日よりも明日。良いものを育てようとする気持ちが無いと、
  決して美味しいものにはならないよ。」

 
 「30年もやっていても、やることが山のようにある」と、笑って答えてくれた。


● どんなことになろうとも

 農産物は正直だ。

 手間を抜けば、それだけちゃんと結果として表れてくる。
 小さいことでも、やらなかったら、どこかにしわ寄せが来てしまう。

 人間が手間を抜かなかったとしても、気象条件で、コロッと変わったりもする。


 そんな中で同じ結果を生み出すためには、毎日の研究とカンを働かせるしかない。


 異常気象などの不確定要素がてんこ盛りなのに、
 すべての責任は作った本人の責任。


 「言い訳なんてしても無駄。作ったものがすべてを語るから。」


 作ったものは、すべて自分の責任であり、言い訳をしない。
 それこそが、プロの証。
 

 そんな世界で、作り手たちは、今も生きている。

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