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● 3月7日
2006年3月7日16時05分。祖母が他界した。
火曜日の夕方に、その連絡を母からもらい、祖母のもとへ走った。
● 自分が生を受けたときから
ばあちゃんは、自分がこの世に生を受けたときから、ばあちゃんだった。
だから、ばあちゃんの若い頃の姿は分からない。
ずっと同じ姿をして、年を取ったように見えないばあちゃんだったので、
「ばあちゃんの生きている時間は止まっているかな」とも思ったことがある。
でも、人間は生を受ければ、いつかは終わりが来る。
ばあちゃんも例外ではなかった。
● 整然と
通夜式、告別式、火葬。
どんどんと流れていく。
ばあちゃんとの一緒に過ごせる時間はあっという間に無くなった。
そして、最後は小さい箱になった。
● お坊様
我が家は浄土真宗の檀家。
祖父が早くに他界したから、命日はお坊様がちゃんと読経しにお見えになる。
そのお相手をするのが、祖母だった。
祖母とのお付き合いは、
「祖父の嫁さんとして来てからだから、70年になる」と、お坊様。
私の父親よりも、さらに長いお付き合い。
● 見送る人
祖母の遺言で、そのお坊様に見送って欲しいということで、お願いをしたのだが、
実は、そのお坊様は既に引退をしていた。
高齢という事もあり、息子に後を譲ったのだ。
視力が弱くなり、読経やお話もうまくいかない状態になったので、
自分の引き際を見極めたのだそう。
本来は、このような場にお願いするのは、息子になるのだが、
70年のお付き合いという事で、快くその願いを聞き届けてくれた。
● 心配り
遠方の親族もいるので、初七日法要も一緒に済ませて、
すべての式が終わったときに、
お坊様はこんな話をしてくれた。
「お付き合いをして、70年。
実は、今日着てきた袈裟(けさ)は、30年前におばあさんから贈られたもの。
それを今日まで、大切に使わせていただいてきた。
どんな高価なものよりも、今日はこれを着ていこうと、一番に決めた。」
そして、袈裟の裏をめくると、祖母の名前が刺繍されていた。
自分は、祖母が一瞬、目の前にいるような気がしてならなかった。
● 肉体はなくなっても
ばあちゃんは、もうこの世にはいない。
でも、その心は、しっかりと自分の中にある。
家族以外に70年のお付き合いをした祖母。
最後に素敵な贈り物を、家族や親族にしてくれたように思う。
ばあちゃん、本当にありがとう。
自分はばあちゃんの孫して生まれて、とても幸せです。
ばあちゃんはこの世にいなくても、私はその心と共に生きていく。
自分に置き換えてみると、
そんなお付き合いが出来る人がどれくらいいるのだろうか。
あなたとは、どれだけのお付き合いが出来るかどうかはわからないけど、
心を伝えていく気持ちには変わりない。
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