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Home > であいたび > 私の名前はチョコ



● 日本でここだけにしかいない牛



北海道の千歳市の牧場にこの子はいる。名前をチョコと言い、2004年2月14日に生まれたからと牧場のスタッフが教えてくれた。


この牛が何故日本でここだけしかいないかと言うと、その出生に秘密がある。


本来、日本にはこの牛は存在していない。この牛は『地中海水牛』といい、牧場のオーナーがアメリカから親牛をわざわざ輸入をしたというほどの希少な動物なのだ。


輸入すれば、誰でも飼うことが出来るがそれをする畜産家はいない。


たやすく出来る代物ではないのだ。コストや輸送など莫大な経費がかかるため、まず日本でこの牛を飼育する人はいないのだ。

では何故この牛を輸入したか。

それはこの牛の乳で作るチーズを作りたかったからだった。その名前をモッツァレラチーズという。本物を作りたいからという一念のみで、この地中海水牛を輸入した。


● 幻のモッツァレラチーズ

実は通常販売されているモッツァレラチーズは本当のものではない。日本で手に入るモッツァレラチーズは海外で生産された保存料が入って、長期間販売できるものしかないのだ。

本物のモッツァレラチーズは日持ちがしないフレッシュチーズのために(冷蔵品)、日本で販売することは不可能とされていた。地中海水牛の乳と、その製法。両方が無ければ、本場の味には到達しないのだから。

その本物を日本で食べられるようにしたい。オーナーの思いは半端な気持ちではなかった。チーズのために牛を輸入するという前代未聞の取り組みをやってのけてしまったのだ。そして、その製法は自分の息子を現地に派遣して、学ばせる程の熱の入れようだった。


「本物を作りたい」


その思いだけで夢を実現させたのだ。


● 特別待遇

そんな水牛の子牛が目の前にいる。それだけで私のココロが躍っていた。日本で唯一しかいない存在。まさにオンリーワン。その存在はさらに特別なものだったのだ。

牛を見守る環境に特別な配慮がされていた。
もしこの牛が病気になろうものなら、東京大学のスタッフが駆けつけて、看護に当たるという。


『体調の変化でもあれば、東大スタッフが飛行機で急遽駆けつける!?』


そんな話なんて、聞いたことが無かった。まして、この子牛は日本で生まれた。親牛がそれほどの待遇を受けているのだから、さぞ完全な体制で育てているのだろうと思っていた。

しかしスタッフの言葉で自分の愚かさを恥じた。


「この子牛と一緒に散歩できますよ」


スタッフの言葉に驚いた。牧場に来た人は一緒に散歩も出来るという。まして、牧場では全く他の牛と同じようにして育てているというのだ。

『特別』ということは一切ない。生きている牛なのだから、他の牛と一緒が当たり前なのだ。

『希少』、『特別』という言葉を聞くと、人は必ず一歩引いて見てしまうことがある。
少なくともこの子牛を見て、生きているという点では全く私たち人間と変わりがない。それなのに、外部からの情報を聞いて、勝手に自分で壁を作ってしまう。

誰が『偉い』、『特別』ということではない。それは第三者が言うことであって、生きているということでは、すべて平等なのだ。

田舎へ行くと教えてくれることがある。


「誰も地球には勝てないよ。」


地球という視点から見てみれば、誰でも同じ。いや、生物すべてがみな同じなのだ。微生物から人間まで。命あるものすべてが地球という星の上ではすべて同じ生き物だ。

情報だけを多く知り、それだけしか見ていなかった自分の器の小ささを感じながら、子牛を眺めて、そっとなでた。



少しの時間だけチョコちゃんと遊んでいると、じっとこちらを見つめていた。つぶらな瞳で見据えている目に私はどのように映ったのだろう。

頭を触ると少しだけ出た角に当たった。少しずつ大人になっていく。今度会ったときとはどんな姿を見せてくれるのか。またじっと見据えて、ココロの奥底を見抜かれるのかなとも思う。

生き物は本質を見抜く力がある。それに負けない人に映れば一番いいのだが。


そんな時、オーナーがこんな事を言い始めた。


「牛は牧草を食べて育つが、その牧草を食べて、命を短くしている。」


牛の餌と言えば牧草だ。それなのに、それが原因で命を縮める!?私は訳が分からなくなってしまった。


(続きはつぎの旅で・・・→ 「牛が教えてくれること」



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