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Home > であいたび > 命をかけたりんごの話し



● 全滅と言われるほど、バカにされたんだ


食べたら泣いてしまうと言われるリンゴは長野の北の方で栽培されている。
それを栽培しているのはたった5人の仲間のグループ。


そのリンゴの美味しさの秘密は何だろう?


誰でも知りたい秘密だ。
でもそれは農家の血と汗と涙の結晶だから、教えられないとやんわりと断られた。

その中の1人がこんな話をしてくれた。


「今年の農薬散布は全滅覚悟でやったのだよ」


そう話が始まる。

先日も話をしたが、長野のその地域で農薬散布回数はおおよそ16回程度。
それの半分以下にすれば、減農薬栽培になる。


回数だけ見れば誰でもわかる。


(2004年4月からは農薬散布回数でなく、成分回数のカウントとなっていますが、
2003年に書き上げたもののため、そのままにしました。)


でもその半分にした内容を聞いて驚いた。

農薬には毒性と言うものがある。
劇物<毒物<特定毒物の違い(右に行くほど毒性は強くなります)。


通常の栽培は毒性の強いものを使う。理由は良く効くから。
一度散布すれば、何日もリンゴや葉に残って、虫や病気を寄せ付けない。


でもその反面、毒性は強くなる。
残効性1週間や2週間なんて、普通でそれを多い人だと毎週かけたりする。


でもその人は回数は半分で、残効性は1日という一番毒性が低いものを散布した。


近所の農家から見て、やってはいけないことと誰も思う作業だった。
「良品は一切出来ないだろう」。誰もがそう思った。


● さらなる困難

さらにつぼみを落とす農薬を散布せずにいた。

これはどういうことかというと、りんごの花は通常1箇所に5個の花をつける。
その真ん中を残して、残りを取るのである。

これは農薬をかければ、5つのうち真ん中のつぼみだけ残して、あとは枯れてしまう。
なんと便利なものだろう!コスト削減だ!なんて…。


でもその人はそれをしなかった。


しないということは自分の手ですべてつぼみを取る事をしなければならない。

考えてみて欲しい。

東京ドーム程度の畑に木が100本あって、その木1本に8000箇所も花があれば、
50000花程度あるものもある。(平均で2〜3万花)それが100本。

それをすべて、手で取るのである。
近所の住人からは「今年のあそこの畑は終わったな」、すべての人からも言われていた。


でもその夫婦はやりきった。
そして、人生で生まれて初めての出来といえるくらいのりんごが今年出来上がった。


少しずつ色づくリンゴ。品種はさんさ。



その時の笑顔といったら、子供がテストで100点を取ったような喜びよう。


「見てくれ!このりんごを!」誇らしげに見せるりんごは
どれも文句がつけられないものばかり。


● 命をかけた分析

さらにその時に恐ろしい話をしてくれた。土壌分析というのがある。
畑の土がどんな栄養素があるかを調べるというもの。

本来は専門の会社に委託して、分析を御願いする。


「今年、それをしなかった。私が自分でやったから。」


さらに話は続く。


「分析会社に出していれば、お金がもっとかかる。
 だから自分でやったのだよ。」



確かにコスト削減だ。

でも次の瞬間、背中が凍りついた。


「自分でやれば、好きなときに、どんな畑でも分析できる。
 でもその試薬はね…。猛毒の毒薬なんだよ。
 だから失敗は許されない。自分の命をかけての分析さ。」


過去にそのような検査の経験があるのか?と聞いたみたら、


「全くないよ。機材を買って、説明書を見ながらやった。
 30回以上はしたかな。何十年ぶりに試験管なんて触ったよ。」



笑いながらそう言う。
土を調べるだけで命がけ?平然と言っているが、それは仲間のためだという。


「誰か1人が出来れば、全員の畑を調べれるし、
 全員で使えば、コストも下がる。いいことばっかり!」



仲間のために命をかける人。それも慣れない分析をたった一人で行い、
誰からも見返りを求めない。


自分の命をかけたのだから、その分の何かをもらってもおかしくはない。


でもその人は、「仲間のためだ」というだけ。

そんな話を聞いて、心が震えた。
あちらが命をかけるなら、こちらも命をかけて接しないと。

自分の性分が許さない。
だから、このりんごをあなたに伝えたい。

私は命をかけて、お伝えする。だから今年の秋まで待っていて欲しい。
必ずあなたに伝えるから。

但し、このりんごは、瞬速で売り切れるのを覚悟してください。
年々早く売り切れになっているみたいですよ。

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